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2020.02.14

東京オリンピック・パラリンピックの物流対策はなにがある??

前回のブログ記事では、東京2020大会開催が首都圏の物流にどのようなに影響があるかをお送りしました。

どうなる東京オリンピック・パラリンピック、どうなる物流への影響???
https://www.shippio.io/news/2020-summer-olympics-problems/

今回は引き続きShippio社内や物流業界の方々と、東京2020大会において物流面ではどのような回避策があるかを話し合いました。

行政による東京オリンピック・パラリンピック対策

東京2020大会において、行政、特に東京港湾局や地方港による主要な対策について、まずはご紹介します。

 

東京港湾局による対策一覧

  • 新しいコンテナターミナルの使用開始
  • コンテナターミナルのゲートオープン時間拡大
  • 24時間利用可能な一時保管場所(ストックヤード)の増設
  • 船舶利用促進(フィーダー・はしけ)

新しいコンテナターミナルの使用開始

中央防波堤外側コンテナふ頭Y2のという、新たなコンテナターミナルの使用が開始されました。

オリンピック競技施設・関連施設に囲まれた青海コンテナふ頭から、取扱貨物を移転することにより、交通への影響を抑えるとのことです。

画像1: 新たなコンテナターミナルの使用開始 – 東京都港湾局HP

 

コンテナターミナルのゲートオープン時間拡大

 

通常、コンテナヤードで貨物を引き取るためのゲートが開いている時間は8:30~16:30です。
しかし、昨年のGW、夏、年末年始に時間拡大のトライアル実施を行っており、大会期間前後を含め早朝夕方以降も延長の予定です。

 

具体的な詳細は2020年2月に発表予定です。

 

24時間利用可能な一時保管場所(ストックヤード)の増設

大会コアタイムをさける早朝・深夜の貨物搬入出を促進するため、東京港コンテナ埠頭に4箇所の一時保管場所(ストックヤード)が増設されます。

画像2: 24時間利用可能な一時保管場所(ストックヤード)の増設 – 東京都港湾局HP

この施策は実証実験がおこなわれ、0.6%の都内通行削減効果があったと報告されています。

東京2020大会に向けた城南島ストックヤード  実証実験実施結果について

https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/business/jonanjimastockyardtrialresult.pdf

 

船舶利用促進(フィーダー・はしけ横持ち)

フィーダー輸送とは、大型船が寄港できない地方港に主要港から小型コンテナ船などを利用して貨物を輸送することをいいます。「国内中継輸送」とも言われます。

 

画像3: 船舶利用促進(フィーダー・はしけ)- 東京都港湾局HP

はしけ横持ちとは、通常、目的地まで最短距離で輸送を行いますが、空きスペースがないなどの理由で遠回りを行う際に、他の経由地を通過して行われるコンテナ輸送の方法です。横浜から東京・千葉にいたる東京湾内の各港をはしけ横持ち輸送を行うことで、首都圏や港周辺の道路の混雑の軽減を図ることも期待されています。

 

画像3: 船舶利用促進(フィーダー・はしけ)- 東京都港湾局HP

フィーダー・はしけ横持ちには輸送混雑軽減への効果を期待され、補助金が実施されています。

画像3: 船舶利用促進(フィーダー・はしけ)- 東京都港湾局HP

東京オリンピック・パラリンピック開催地を避けて地方港の活用

荷主側の対策としてよく話を聞くのは、混雑する東京を避け、別の港から輸送するルートを確保することです。

東京近郊の地方港として、

  • 横浜港
  • 川崎港
  • 千葉港
  • 茨城港

が具体的に挙げられます。また、静岡の清水港へのシフトを視野にいれている方もいるようです。

地方港を活用するにしても、東京港と同様に現地にはそれぞれのキャパシティ問題もあるため、綿密な代替計画と、現地事業者(倉庫、ドレージ、通関事業者等)を探す必要があります。

また、地方港側が切替輸送を招致しているケースもあります。例えば、神戸では港湾と現地事業者が上海ー神戸間の定期運行フェリーと鉄道輸送を組み合わせ、輸送日数を短縮する実験を行っています。

日本経済新聞「神戸港、物流ルート新設支援 時間短縮や人材不足対応」

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO53235450R11C19A2LKA000?unlock=1&s=5

東京オリンピック・パラリンピック開催期間から時期をずらす

東京2020大会の影響を受けないために、そもそもの輸出入する時期をずらすという方法もあります。

時期をずらすためにに必要なこととして
– 大会前に多めの発注
– そのため必要な倉庫の確保

具体的には、6,7月に前倒しをを行い、倉庫も確保する必要があります。

モーダルシフトで東京オリンピック・パラリンピックに対抗する

東京近辺の港ではなく、遠方の港で荷揚げを行い鉄道で輸送する対策も考えられます。

「トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換する」、いわゆるモーダルシフトです。モーダルシフトは東京2020大会への対策というだけではなく、労働力不足の解消・働き方改革という観点からも注目されています。

モーダルシフト(鉄道)のメリット・デメリットは以下と言われています。

荷主側のメリット

  • 長距離(目安:500km以上)の運賃が比較的安価
  • 時間通りに運べる

画像4: 貨物の特徴 – 日本貨物鉄道株式会社

 

荷主側のデメリット

  • 短距離の運賃が高額化
  • リードタイムが長い
  • 国内JR貨物輸送コンテナサイズが12fのため、積み替えが必要
  • 運送時間や頻度がフレキシブルではない

 

現在の状況では、コストが高くなってしまうことやリードタイムが長くなってしまうため、トラック輸送に比べ、鉄道による国際コンテナ輸送は普及していません。

20ft や 40ft といった ISO 規格の国際海上コンテナを運べる路線は限られているため、独自の規格である 12ft5トン積載コンテナへの積み替えが必要になり、コスト、リードタイムのデメリットが生まれるためです。

 


参考: 国土交通省 モーダルシフトとは
http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/modalshift.html

東京オリンピック・パラリンピックを超えてBCPを考える

東京2020大会を契機に、一時期の対策だけではなく緊急事態でも事業の継続させる、という物流面BCPで考えている企業もあるようです。

BCP(Business Continuity Plan:事業継続継計画)とは、

「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。」

参考) 中小企業庁 BCP(事業継続計画)とは
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

画像5: 企業の事業復旧に対するBCP導入効果のイメージ – BCP(事業継続計画)とは – 中小企業庁HP

緊急事態が起こった時に、BCPを導入済であれば、事業の早期復旧を果たすことができます。

  • 例1. 大規模地震の発生により、あなたの会社の事務所にあるパソコン等の機器類の多くが机から落ちたり、あなたの会社の工場にある重要な生産設備が転倒したりして、使用できなくなった場合
  • 例2. 火災の発生により、あなたの会社建屋をはじめとして、事務所にある各種の書類やパソコン等の機器類、あなたの会社の工場にある重要な生産設備等が焼失して、使用できなくなった場合
  • 例3. 近所の河川の大氾濫により、あなたの会社事務所や工場が浸水して、事務所での業務が不可能になったり、工場にある重要な生産設備が使用できなくなったりした場合
  • 例4.インフルエンザや新型感染症の大流行により、あなたの会社の従業員の大半が、1週間以上出社できなくなった場合

平常時におけるBCPの策定と運用(基本コースより)- 中小企業庁 より
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_03a.html

 

例えば、例3のように2019年全国各地で甚大な被害をもたらした「令和元年10月25日の大雨」では、千葉県で河川の氾濫や停電、断水が起きました。そのため、主要な物流施設である成田空港への公共交通機関が電車・バスを含め、一切動かなくなりました。

成田空港の事業所で一時、従業員がいなくなり、事業が止まるという事態を引き起こしていました。

現在は、新型コロナウイルスが世界では猛威を奮っており、日本でも発症者が出ており、対岸の火事ではありません。例4のような事態も想定の必要があります。

具体的に物流業界でBCPとして挙げられている方法としては

  • 自宅でのテレワークの導入
  • 地方港の活用
  • 緊急事態を想定した前倒しプランの実行
  • モーダルシフト(鉄道 JR貨物)

 

などが考えられます。

大会期間中・開催前後の円滑な物流は物流事業者のみでは実現できず、生産や調達から見直していると荷主の方々から伺うこともあります。

我々Shippioも地方港の活用や見直しもご提案させて頂くことも可能ですので、よろしければ Shippioにご相談ください!

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Reference

Photo by Kyle Dias on Unsplash

画像1: https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/business/tokyo2020torikumi/y2running.html

画像2: https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/business/tokyo2020torikumi/newstockyards.html

画像3: https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/business/tokyo2020torikumi/feederbarge.html

画像4: https://www.jrfreight.co.jp/modalshift

画像5: https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html