サプライチェーンの可視化で実現する在庫管理の最適化

2023.05.16

様々な分野で「DX」や「イノベーション」の必要性が求められる現在、貿易業務DXも例外ではありません。どのような変革がサプライチェーン・マネジメントに役立つのか、どんな施策が貿易業務の省力化となるのか。

それを追及すべく、株式会社Shippioは「理想の物流体験を社会に実装する」をミッションに掲げ2016年に設立しました。クラウドサービスとフォワーディングを併せて提供する、日本初のデジタルフォワーダーです。

本記事では貿易業務の課題と、Shippioのソリューション展開、「貿易実務の効率化」と「国際物流の可視化」の効果について、Shippioセールスマネージャーの竹原に話を聞きました。

 

Profile

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竹原 功将/Sales Manager

みずほ銀行にて法人新規営業に従事し、若手優秀賞を複数回受賞。SMBマーケットにおける新規獲得で年間1位を記録。その後、ベガコーポレーション(グロース上場・家具EC)にて、経営企画やSCM戦略部の責任者として、サプライチェーンに関わる戦略立案・実行・オペレーション管理に従事。サプライチェーン全体の改善活動に従事し、半年で7,000万円以上のコスト削減を実現。管轄領域は国際物流から国内保管、国内配送まで多岐にわたる。 freee株式会社では、カスタマーサクセスやアライアンスの企画立案・運営・パートナー営業などに従事。現在は、株式会社Shippioにて事業会社向けのセールスマネージャーに従事。

 

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在庫管理の最適化・リスク回避とコスト削減の両立を目指して

ー 最近の企業が抱える大きな課題について教えてください


経営課題として「在庫管理」を挙げる企業が増えています。ここ5年で、在庫管理の在り方が大きく変わりました。

ー コロナの影響でしょうか?


基本的な考え方として、在庫は持たないほうがコストがかかりません。在庫を増やすためには、モノを購入し、保管する倉庫が必要になります。また、持ちすぎると売れなかったり、モノによっては腐ったり使えなくなったりします。つまり、過剰在庫はリスクが高いという考えが一般的でした。
コロナ前は、できるだけ在庫を押さえ、適正な在庫量で経営するジャストインタイムが求められていました。

しかしコロナ渦となり、国際物流の遅延やコンテナ船のスペース不足が問題になりました。今まで計画通りに届いていたモノが、届かなくなった。そうなると、ジャストインタイムで調達していた在庫量だとサプライチェーンが止まり、モノがつくれない、売れないという状況になります。
この欠品による機会損失を防止するために、在庫を増やし、安全在庫の積み増しを各社が行いました。調達先を分散させ、安全在庫が保管できる倉庫も確保したわけです。

しかし、安全在庫の積み増しはコストがかかります。一時期の国際物流の乱れが若干落ち着いた今、保管コストによる利益の圧迫が問題となっています。同時に、在庫量の増加によるキャッシュフロー圧迫も課題です。現在は、いかなるリスクにも対応できる「柔軟な在庫管理の在り方」が求められているのです。

 

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在庫管理における調達物流管理の可視化の重要性とその効果

ー 柔軟な在庫管理には何が必要でしょうか?


適正な在庫水準を維持しつつ、リスクが発生した際には、柔軟に安全在庫を確保しなくてはいけません。そのためには、倉庫内の在庫を正しく把握するだけではなく「洋上在庫の輸送状況の可視化」が不可欠です。

また、在庫管理をするうえで、発注タイミングが重要です。発注タイミングは、生産のリードタイムと調達物流のリードタイムから算出されます。調達物流の際に、輸送船に積載されている在庫が「洋上在庫」です。
洋上在庫の輸送状況の可視化、つまり「いつ輸送中のモノが届くか」が把握できないと、在庫管理は厳しく困難です。

実は国際物流業界では、洋上在庫を管理するうえで必要不可欠な、船積み管理や国際物流のトラッキング管理のデジタル化が進んでいません。

受発注管理や生産管理にはシステムを導入し、モノが倉庫に入庫したらWMS(在庫管理)で管理する企業が多いと思います。しかし、生産から倉庫入庫までの調達物流管理は、アナログなままエクセルで管理している企業が大半を占めます。

 

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ー エクセル管理から脱却するメリットは何ですか?


洋上在庫をしっかりと管理するうえで、調達物流の管理をリアルタイムに行う必要があります。しかしエクセル管理の場合、全て手動です。
まずBL番号などを元に一件づつ、各船会社のサイトへ見に行き、手打ちで検索します。最新の本船動静が確認できたら、それをエクセルに一個ずつ転記し社内で共有する。時間も手間もかかる作業が、毎日発生しています。

Shippioは、この業務を一つのプラットフォーム上で完結し、可視化することができます。本船動静も自動トラッキングされるので、毎日行っていた船会社への検索作業も無くなり、省人化が可能です。
調達物流管理が可視化されることで初めて、サプライチェーン全体の可視化が実現できるのです。

 

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ー Shippioの本船動静機能について教えてください

 

Shippioの本船動静トラッキングサービスは、船会社サイト等を含む複数のデータソースの情報を元に、当社独自のロジックにより正しい日付(ETD、ETA)や洋上にある本船位置などを自動で算出する仕組みになっています。

各データソースからのデータの取得は、1日2回。システムによる自動取得と、マニュアルでの手入力の組み合わせとなっているため、高い精度の自動トラッキングを実現しています。また、船会社から自動で日付・本船ステータスを取得できない場合でも、Shippioは自動トラッキングすることが可能です。

表示はシップメントごとです。視覚的にシップメントの進捗や本船動静をタイムリーに把握するため、遅延状況を色別で表示しています。(赤は遅延・黄色は遅延可能性あり)

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それ以外にも、マップ機能により本船位置を地図上でタイムリーに表示するので、船の位置を簡単に把握することができます。

 

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また、本船の遅延実績の取得もできます。
最新のETAやATAと、当初取得のオリジナルETAを比較し、遅延日数の算出も可能です。過去の遅延データを参考にすることで、「調達物流のリードタイム」を考えることができます。これは在庫コントロールを行う上で、とても不可欠な情報となります。

 

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Shippioを導入し調達物流管理を行えば、「いつ輸送中のモノが届くか」「過去にどのくらい遅延したか」を把握することが可能です。これにより、柔軟に在庫コントロールができる体制の構築ができます。

ー Shippio導入の更なるメリットはありますか?


サプライチェーンが可視化されることで、余剰在庫の減少、機会損失の削減、そして在庫適正化によるキャッシュフロー改善が可能となります。

また将来的な話になりますが、船の遅延情報が実績としてシステムに溜まるので、分析で活用できるようになると思っています。今まで経験で補ってきた業務が、実績とデータに基づいて対策・施策が打てるようになります。

本船動静の自動トラッキング機能の他にも、案件の見積からシップメントごとの書類管理、チャットなど社内外のコミュニケーションまで、一元管理・可視化が可能になります。貿易業務の50%が削減された事例もありますので、ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

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