コンテナヤード、コンテナターミナルってなに?|海上輸送の基礎知識を解説!

2023.05.31

本記事では、海上輸送の基礎知識として、コンテナヤード、コンテナターミナルについて解説します。

コンテナの保管や積み替え、通関手続きなど、海上輸送における重要なポイントを理解することで、貿易業界や物流業界での活動においてよりスムーズな業務が可能となるでしょう。

Shippio は国際輸送を手配するデジタルフォワーダーです。通関や輸送に関して何か気になる点ございましたら、お気軽にお問い合わせ/資料請求ください。

 

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海上輸送の基礎知識|国際輸送のプレイヤーと輸送費の関係性

国際輸送には大きく分けて、3つのプレイヤーがいます。

 

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  • 貨物を動かしたい荷主(Shipper)
  • 貨物の輸送を手配するフォワーダー(Forwarder)
  • 貨物を実際に動かす船会社(Carrier)

 

ここで、荷主はCarrierに直接依頼すればよいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、船会社は運航している区間のコンテナスペースをなるべく多く販売したいと考えます。

フォワーダーは定期的に一定量を輸送します。一方、輸送する頻度や分量が少ない荷主は、直接契約するのはさほどメリットがありません。このような理由から、直接契約した時の輸送費は、フォワーダーを介した輸送費よりも同程度、もしくは高くなる傾向にあります。

コンテナターミナルってなに?

‍コンテナターミナルは、海上輸送と陸上輸送の2つの輸送機関を結ぶ場所を指します。
また、かつ外国貨物の一時保管場所としての機能も持っており、貨物の内容点検、改装、仕分け等も行える場所です。貨物の蔵置期間は1ヶ月と定められており、関税法上の自主管理制度を利用し、貨物の搬出入を管理しています。

また、コンテナターミナルに返却されたコンテナは、次の使用に耐え得るかの検査がなされ、場合によってはコンテナ内部の清掃・洗浄や破損部分の修理を行い、貨物の安全輸送のため、コンテナを常に良好な状態に維持しています。

 

以下はコンテナターミナルのイメージ写真になります。

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この赤いキリンのようなクレーンはガントリークレーン (Gantry Crane) です。
ガントリークレーンはコンテナ船が着く港湾に設置され、コンテナ貨物などの積み卸しをする巨大なクレーンで、世界中の貿易港のほとんどに設置されており、貨物の荷役を行う貿易にとって、不可欠な機械です。

CFSとCYの違いを解説

コンテナターミナルを知る上で抑えるべき2つの用語、CFSとCYについて解説します。

1. CFS(Container Freight Station)
船会社が貨物をコンテナに詰め作業(バンニング)、あるいはコンテナから貨物を取り出す作業(デバンニング)を行う場所のこと。CFSに搬入される貨物・CFSで荷渡しされる貨物をCFS貨物と呼ばれます。CFS貨物はLCL(Less than Container Load)貨物と同義で、CFSでの混載作業をコンソリデーション(Consolidation)というため、コンソリデーションカーゴとも呼ばれます。

2. CY(Container Yard)
CYとは保税地域の海上コンテナを一時保管しておく施設のことです。通常、船会社または船会社指定の港湾運送事業者が所有・管理しています。
輸入の場合、FCL貨物はCYに搬入された時点で輸入申告が可能になります。輸出、輸入ともに、CYを利用した通関手続きを行うことで、リードタイム短縮が可能となります。

CYオープン、CYカットについての解説

バンニングを終えたコンテナはCY(コンテナヤード)で本船の船積みを待ちますが、CYにコンテナを入れられる期間が決まっています。
CYオープンとはそのCYにコンテナを搬入できる開始日を意味し、CYカットは期限日を指します。CYカットまでに税関からの輸出許可が必要になります。

CYカットまでに輸出許可が降りなければ、その時点で予定の船に積めないので納期遅れが発生してしまいます。
ご自身の貨物が税関での検査対象となってもCYカットまでに税関の許可を受けられるように、あらかじめ余裕を持たせたスケジューリングが重要です。
あまり貿易経験のない方は検査の対象となりやすい傾向があります。特に注意しましょう。
一般的には、CYオープンは出航の1週間前、CYカットの時間は前日の16時30分など夕方に設定されている場合が多いです。

 

海上輸送の際に費用や用語

ターミナルハンドリングチャージ(Terminal Handling Charge: THC)

コンテナターミナル内で発生する費用を指します。具体的には、ガントリー・クレーンを使用してコンテナを本船からコンテナ・ヤード上へ降ろす作業、コンテナ・ヤードに降ろしてからコンテナ・ヤード内の所定の場所に移動する作業、コンテナの維持・管理作業、税関への届け出作業等を取りまとめた料金です。

コンテナフレートステーションチャージ(CFS Charge)

CFSにて発生する混載貨物の取扱費用です。LCLサービスチャージ、CFSレシービングチャージとも呼ばれています。混載貨物はCFSへ移動し、そこでコンテナから貨物を取り出した後、コンテナに積載されているべき貨物のリストと実際の貨物の個数、容量を確認して税関に届ける手続きが必要です。それらの作業のための費用です。

エンプティーコンテナハンドリングチャージ(Empty Container Handling Charge: ECHC)

オフドック(港湾区域外にあるコンテナヤード、例えば荷主の倉庫)で発生する費用です。例えば、荷主の都合で一旦コンテナをシャーシから降し、後日コンテナを回収する際に発生するシャーシより揚げ・降しする費用などが含まれます。

デリバリーオーダーフィー(Delivery Order Fee)

デリバリーオーダーやアライバルノーティスを発行するための手数料です。輸入者が船会社に支払います。D/O feeと表記されることが多いです。

ドレージ(Drayage、ドレー)

FCLで輸送する際、倉庫などからCYまで専用のトレーラーで輸送されます。その陸上輸送費は倉庫などからCYまでの往復料金がかかります。

デマレージ(Demurrage)とディテンション(Detention Charge)

デマレージとは、船会社と荷主(またはその代理人)との間で合意したコンテナヤードでの無料保管期間(フリータイム)を超過した場合に、荷主が船会社に支払わなければならない超過保管料です。別名、「超過保管料」とも呼ばれます。
一方ディテンションは、荷主が船会社との間で合意したコンテナ返却の無料期間(フリータイム)を超過した場合に、荷主が船会社に支払わなければならない超過コンテナ使用料です。

 

デマレージとディテンションについての詳しい説明は「デマレージとは|言葉の定義やディテンションとの違い、計算方法やデマレージの回避策について解説」をご一読ください。

海上輸送の大まかな流れ

海上輸送の流れを輸出・輸入に分けて解説します。
それぞれLCL(混載)・FCL(フルコンテナ)のに分け、計4パターンをご紹介します。

輸出・LCLの場合

  1. CFSに貨物を搬入
    貨物の集荷を手配するか、荷主の方がご自身で搬入して頂きます。ここで積み下ろして重さや長さ、外装の確認などが行われます。

  2. NACCSシステムで税関申告
    申告区分により簡易審査、書類審査、検査扱いに分かれます。ここで輸出許可がおりなければ船積みできません

  3. CFSでバンニング(コンソリデーション)
    他の混載貨物と相積みし1本のコンテナに仕上げます。混載にする場合は相積みすることを念頭に入れて梱包しましょう。

  4. CFSからCYに搬入
    CYで本船に船積みを待ちます。

  5. 本船出航

船積み完了後もしくは本船出航後B/Lが発行されます。B/Lやインボイスなどの船積書類を輸入者に送りましょう。

輸出・FCLの場合

  1. コンテナで集荷
    空のコンテナで荷主の方の工場、倉庫まで集荷します。ここで注意ですが、コンテナの陸上輸送にはドレージ費用というものがかかります。

  2. CYに搬入

  3. NACCSシステムで税関申告
    この申告区分により簡易審査、書類審査、検査扱いに分かれます。ここで輸出許可がおりなければ船積みできません。
  4. 本船出航!
    LCLの場合と同様に、船積書類を輸入者に送りましょう。コンソリデーションがない分、FCLの方がやることが少ないのが特徴です。LCLでもFCLでも税関で検査となった場合、1日程度かかります。

輸入・LCLの場合

  1. 本船到着
    到着前にアライバルノーティスで到着日が知らされます。

  2. CYからCFSに移動
    作業するためCYからコンテナがCFSに移されます。

  3. CFSでデバンニング
    コンテナから貨物が取り下ろされ、仕分けされます。

  4. 輸入申告
    NACCSで輸入申告します。申告内容に問題がなければ許可がおります。ここで検査になるとX線検査や全量検査などが行われるため、その後のスケジュールに支障をきたします。

  5. 配送
    輸入許可がおり次第、配送の手続きに入ります。

輸入・FCLの場合

  1. 本船到着
    到着前にアライバルノーティスで到着日が知らされます。

  2. CYに蔵置
  3. 輸入申告
    NACCSで輸入申告します。申告内容に問題がなければ許可がおります。ここで検査になるとX線検査や全量検査などが行われるため、その後のスケジュールに支障をきたします。

  4. 配送
    輸入許可がおり次第、配送の手続きに入ります。
    食品や危険物など別途申請が必要なものの輸出入に関してはこの限りではなく、もう少し輸入申告前が慌ただしくなります。

 

まとめ:海上輸送の流れやコンテナヤードについて詳しく解説

本記事では、海上輸送の流れやコンテナヤードについて詳しく解説してきました。その中でも重要な要素としてCFSとCYを解説し、海上輸送の大まかな流れについてもご紹介しました。

海上輸送や物流に携わる方々にとって、海上輸送の流れやコンテナヤードに関する知識は、スムーズに業務を進める上で重要な要素となります。この記事を参考にしていただき、海上輸送における基礎知識を確実に身につけてください。

 

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Reference

 

JETRO コンテナのデマレージとディテンション・チャージとの違い:日本
東京港埠頭株式会社 コンテナ埠頭の施設紹介