ここはL/Cでどうよ?

2019-02-27

L/Cの現状とこれから…

“気軽にできる貿易”をテーマに必要な書類・手続き、知っておくべき用語。などを紹介していきます。


今回はL/C(信用状)とは何かをご紹介します。後述しますがL/Cを使った貿易にはオリジナルB/Lが必要で、その手続きの煩雑さや船の高速化に伴い、近頃はオリジナルB/LおよびL/C決済が使われなくなっているのが実態です。(B/Lに関してはこちらの記事をご覧ください。)しかしながら、こちらもまた後述しますが、ブロックチェーンを利用したL/C決済が世界中で実験的に実施されており、オリジナルB/LおよびL/C決済が見直されつつあります。こういった背景を踏まえながら、リスクを回避する手段としてL/C決済の手順をしっかり把握しておきましょう。

では、L/Cについて見ていきましょう。

そもそもL/Cとは

“L/C”とは“Letter of Credit”のことで日本語では「信用状」というものです。
L/Cは主に船での国際輸送で利用されます。船での輸送は時間がかかるので、商品の受け取りと代金の支払いを同時に行うことが難しく、輸出者と輸入者のいずれかがリスクが追うことになります。例えば、商品入手前に代金を支払う前払いの場合は輸入者に商品を入手できないリスクが発生し、代金回収前に商品を出荷する後払いでは、輸出者が代金を回収できないリスクを負うことになります。
この双方のいずれかが負うリスクを解消するために使われるのがL/Cです。L/Cを使った国際輸送では、輸出者と輸入者の間に銀行を介することでそのリスクを取り除きます。
L/Cは輸入者の取引銀行が発行する書類で、輸出者が信用状条件に基づく書類を提示することで、輸入者に代わり、輸出者に対して代金の支払いを確約した保証状です。ですので、L/Cを使った貿易のメリットは、信頼関係が薄い取引相手でも輸出側は代金回収が確約され、輸入側は商品を確実に受け取れるということになります。

この記事ではL/Cを利用するステップは大きく2つに分けます。L/Cを発行して輸送するまでのステップと輸送から決済までのステップです。

まずL/Cを発行するステップです。


1. L/C発行の依頼
売買契約を結んだ後、輸入者は銀行に輸出者宛てのL/Cの発行を依頼します。

2. L/Cの発行
開設銀行は開設依頼人から依頼された内容のL/Cを発行します。

3. 輸出者への通知
発行されたL/Cは、開設銀行から輸出地の通知銀行を通して輸出者に通知されます。

輸入地のL/Cを発行する銀行を開設銀行、輸出地で輸出者とやりとりする銀行を通知銀行または買取銀行と言います。通知銀行から輸入者がL/C発行の依頼時に指定した条件(B/L、I/V、原産地証明やその他書類を銀行に提出するなど)が輸出者に通知されます。通知銀行は開設銀行に一任することもあるようですが、輸出者が指定する場合もあります。
輸出者がL/Cを受け取った後、その条件を全て満たすように船積みの準備をします。
契約通りに商品を船積みしたことを証明できれば、商品の発送後すぐに代金回収ができますが、当然ながら、指定期日までに船積みされていない、書類が条件を満たさない等の不備があると支払いは拒絶されます。また船積書類の提示期限についてはUCP600の第14条C項にて船積み後21日以内かつL/Cの有効期限内とICC(国際商業会議所)が定めているので、注意が必要です。

L/C決済の流れ

それでは輸送から決済までのステップをご紹介します。

①輸出者側の流れ(船積みとB/Lを入手するまで)

まず、輸出者が船積みの用意をして、フォワーダーに輸送を手配を依頼し、L/Cの条件に合うように船積みを用意します。
そして、税関から輸出許可がおり、船積みが完了すると船会社からB/Lが発行されます。そのB/Lをフォワーダーを通して入手します。
詳しい輸出の流れに関してはこちらの記事をご参照ください。

②輸出者、輸入者それぞれの銀行とのやりとり

B/Lを入手した輸出者は銀行にB/Lを提示し、為替手形を発行します(振出し)。為替手形とB/Lなどの船積書類を添付したものを荷為替手形と言います。次に銀行間での取引になります。通知銀行が荷為替手形を輸入地の開設銀行に送付し、その手形の額面通りに決済がなされます。輸入者は荷為替手形が渡った開設銀行に代金を支払い、船積書類を手に入れます。
貨物請求権を化体した権利証券であるB/Lを含む船積書類を受け取ったことで、この時点で貨物の所有者は輸入者となります。

③輸入者側の流れ(決済完了後から貨物が輸入者に届くまで)


次に輸入者はフォワーダーに船積書類を提出して輸入手続きを依頼します。船積書類を輸入者から預かったフォワーダーは船会社にB/Lを提示することで、貨物を受け取ります。そして最終的に輸入者の元に届けられ、L/C決済での国際輸送が完了したことになります。

L/C以外の決済方法

L/C決済以外の決済方法は

  • 信用状なし荷為替手形決済
  • 銀行為替/外国為替送金

の2つに分けられます。

まず信用状なし荷為替手形決済についてです。信用状なし荷為替手形決済は主にD/P(Documents againgst Payment)とD/A(Documents against Acceptance)があります。この決済方法では、先のL/C決済とは異なり、輸出者は通知銀行に船積書類と為替手形(荷為替手形)の提出後、すぐに代金を回収することはできません。
荷為替手形が輸出地の銀行を経由して輸入地の銀行へと渡り、輸入者が銀行で支払った後、輸入地の銀行から輸出地の銀行へと送金され、輸出者が代金を回収可能になるという流れになります。
D/P決済の場合は輸入者が代金支払後に船積書類を受け取るというもので、D/A決済は輸入者は手形期日までに支払うことを条件に船積書類を受け取るものです。

次に銀行為替/外国為替送金についてです。
こちらはT/T(Telegraphic Transfer/電信送金)、M/T(Mail Transfer/普通送金)、D/D(Demand Draft/送金小切手)の3つが一般的です。
まず、T/Tでは荷主の方の立場から見れば、国内の銀行振込と同じような送金方法です。国際間送金なので、銀行間で結ばれるコルレス契約によって銀行から銀行への支払指示が行われます。
次にM/Tですが、基本的にはT/Tと同じ仕組みなのです。銀行から銀行への支払指図がT/Tで使われる電信ではなく、郵便で行われるのが特徴です。郵便を使うため、銀行への手数料は安いですが、T/Tよりも支払いに時間がかかります。
最後にD/Dです。名前の通り、小切手で支払う方法です。輸入者が銀行から送金小切手の交付を受け、それを輸出者に送付します。輸出者は小切手を受取後、輸出地の銀行に小切手を持ち込み現金を受け取ります。

銀行為替/外国為替送金は、荷為替手形決済(信用状決済、D/P、D/A決済)に比べて簡単で、銀行手数料も安いため、近年は電信送金での支払いは増えていますが、この送金方法は、荷為替手形決済で解消できるリスク(輸入者が契約通りに送金するどうか)を解決するものでなく、輸出者と輸入者との信頼関係が重要になります。ですので、初めての取引では支払条件を銀行為替/外国為替送金で行うにしても、前金と後払いに分けての支払などの対策が必要です。

L/Cのこれから

L/Cのこれからということで、ここではブロックチェーンを利用した貿易金融の動向についてご紹介します。(詳しい貿易におけるブロックチェーンの動向は別の記事で出します。)

まず貿易でブロックチェーンを使うメリットとは、①書類のやり取りにかかる時間を一気に短縮することができる、②貿易の関係当事者に同一のデータを共有できることです。この数年でブロックチェーンを利用した貿易金融は飛躍的に伸びています。2016年8月にはL/Cをブロックチェーンベースに移行させる試みが始まってます。

2018年の5月にはイギリスのメガバンクHSBCが、ブロックチェーンプラットフォームを使った貿易の信用状(L/C)の商業利用可能なレベルでの処理に初めて成功した報じられています。中国でも2018年9月に中国人民銀行が深セン市の金融機関に「ベイエリア貿易金融ブロックチェーンプラットフォーム」を導入し、12月には中国銀行協会が貿易金融プラットフォームを開発したことを発表しました。香港では政府主導で2018年の11月ごろにブロックチェーンベースの貿易金融プラットフォーム(eTrade Connect)が開発されました。このプラットフォームでは、HSBCやスタンダード・チャータードをはじめとして多くの金融機関と連携しているとのことです。

日本国内でも2016年の7月から静岡銀行、オリックス、NTTデータが貿易金融をテーマにしたブロックチェーンの適用実験を行っており、2017年8月にNTTデータ主導で商社、船会社、保険会社の13社でコンソーシアムが立ち上がりました。2018年の1月には三井住友フィナンシャルグループ、三井物産、商船三井、三井住友海上火災保険株式会社、日本IBMなど7社が実際の貿易取引に合わせて、取引契約、物流、貨物保険などに必要な書類を電子化し、ブロックチェーンのネットワークに記録する実験を行い、三井住友銀行が貿易金融でのブロックチェーン利用を2019年の夏頃に実用化させるそうです。
世界的に見てもブロックチェーンを利用した貿易金融は既に実用段階のようです。

いかがでしたか?これがL/C決済の今とこれからです。貿易する上で決済は大きな問題です。現状でも決済管理に手間取っている方も多いのではないでしょうか?
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