FCLとLCLは何が違う?それぞれのメリット・デメリットや使い分けのポイントを解説

2023.02.07

FCLとLCLの違いについて、正しく理解していますか?それぞれのメリットやデメリットも含めて、詳しく説明できないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、デジタルフォワーダーのShippio(シッピオ)が、貨物の国際輸送形態であるFCLとLCLの概要、メリットとデメリット、使い分けのポイントなどを詳しく解説します。

 

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FCL(コンテナ輸送)とLCL(混載輸送) 

FCLとLCLは貨物の国際輸送形態でコンテナを独占するかシェアするかの違いがあります。FCLとは一荷主がコンテナを1本借り切る、独占する輸送形態で、フルコンやCY貨物とも呼ばれます。Full Container Loadの略です。

一方LCLとはコンテナ一本分を満たせない小口貨物の複数の荷主(Shipper、シッパー)が1つのコンテナをシェアする輸送形態で、混載輸送やCFS 貨物とも呼ばれます。Less Than Container Loadの略です。

FCL 一荷主がコンテナ占有

FCL は一荷主がコンテナを1本占有して輸送する形態です。FCLの流れは図の通りです。

 

図1.FCLの流れ

FCL流れ

 

 

FCLでは基本的にコンテナを途中で開けることなく、輸入者が指定する場所まで届けられます。バンニングと呼ばれる詰め込み作業を行ったあとは貨物を詰めたコンテナはCY(コンテナ・ヤード)という場所で輸出入の通関や貨物の受け渡しが行われます。一般的には貨物量が十分ある時にFCLを利用します。混載できない貨物を運ぶ場合などの量が少ない場合はバンニングの際にしっかりとコンテナ内に固定して輸送中の損傷に注意を払う必要があります。

FCLの場合、シッピングマーク(荷印)が必要という訳ではありませんが、仕向地(貨物の送り先国)によっては必要となる国もありますのでご注意ください。

LCL 複数荷主がコンテナシェア

LCLは混載、コンテナのスペースを他の荷主とシェアする輸送形態です。LCLの流れは図の通りです。

 

図2.LCLの流れ

LCL流れ

 

 

輸出側では複数荷主の貨物を一か所に集めてコンテナに詰め、船積みして海上輸送、輸入側では荷下ろし後にコンテナを開け(バラシ)、積まれた荷物を仕分けるという作業が必要です。その作業はフォワーダーや船会社の手配でコンテナフレイトステーション(Container Freight Station:CFS)で行われ、通関や貨物の受け渡しもCFSで行われます。

 

LCLでは他の荷主とコンテナを共有するので、運べる貨物に関して制限があります。例えば、 冷蔵または冷凍などの温度管理が必要な貨物、穀物・原材料等のバラのままの貨物、長尺物、重量物、大型貨物、異臭が発生するなど他の相積貨物と一緒にコンテナに積むと悪い影響がおよぶ場合も、LCL貨物にはできません。 

また、LCLの場合は、他の荷主の貨物との混同を避けるため明確なシッピングマーク(荷印)が必要なことにご注意ください。           

コンテナ種類・容積・積載量

コンテナには様々なタイプがあり、状況に応じて使い分けられています。温度設定、長さ、高さ、運ぶ商品の種類によって適切なコンテナが使用されます。

詳細は別記事でご紹介しますが、例えば 大きさ(内法寸法)では

20フィートコンテナ: 約2.3m(幅)x 約6m  (縦)x 約2.4m(高さ)

40フィートコンテナ: 約2.3m(幅)x 約12m(縦)x 約2.4m(高さ, HCハイキューブの場合2.7m)

重さの上限は20ftコンテナで約20トン、40ftコンテナで約25トンです。

FCLのメリット・デメリット

FCLは一荷主がコンテナを1本借り切る、独占する輸送形態です。

この章では、コンテナ1本を貸し切ることでの荷主に取ってのメリット、デメリットをそれぞれ2点づつにまとめて解説します。

メリット1. 貨物の損傷が発生しにくい

FCL最大のメリットは、コンテナを途中で開けることがないため、貨物に損傷が及ぶ可能性が少ないことです。

また積んだ貨物が他の荷物と干渉しないように固定することができるため、輸送途上の揺れなどによる損傷は少ない傾向があります。

メリット2. 貨物を受け取るまで早い

次のメリットは、貨物の搬入時間が短く、早く貨物を受け取ることができることです。

FCLは一荷主がコンテナを占有するため、搬入時にコンテナから貨物を出す作業が要らず、搬入時間が短くなり、税関への輸出申告から輸入許可取得までの時間が短くなります。その結果、貨物の配送&受け取りまでの時間を早くできます。

デメリット1: 貨物の量が少ないと料金が割高

FCL最大のデメリットは、貨物の量がある程度必要であり、貨物量が確保できなければデッドスペースが生まれ、割高になってしまうことです。一般的には「13㎥」前後がFCLとLCLの境と言われています。13㎥より貨物が少なく、デッドスペースを埋めることができる貨物においては、貨物量に応じた輸送形態を選ぶ、つまりLCL(混載輸送)を検討することになりますが、貨物受取時間や品質影響などを考慮し総合的に判断する必要があります。なお20フィートコンテナの費用は40フィートコンテナの半分ではありません。場合によっては、40フィートコンテナの約90%の費用がかかることもあるので注意してください。

後半のパートで使い分けのポイントを解説します。

デメリット2: ドレージ手配が必要

FCLでは、コンテナのまま自社など指定する倉庫まで「ドレ―」という専用トラックで運びます。このドレ―料は、港から指定倉庫までの往復料金(ラウンド料金)がかかります。コンテナ運賃だけでなくトータル費用を把握する必要があります。

LCLのメリット・デメリット

LCLはコンテナ一本分を満たせない小口貨物の複数の荷主(Shipper、シッパー)が1つのコンテナをシェアする輸送形態です。シェアすることによって、料金を安く輸送できるというメリットがある一方、損傷リスクや輸送の遅れなどのデメリットも存在します。

メリット: 少ない貨物を安く輸送できる

 

LCL最大のメリットは、貨物の量に応じた料金体系であり、少量の貨物を安く輸送することができることです。20フィートコンテナで、5~7平方メートル以下の貨物、40フィートコンテナで8~10平方メートル以下の貨物を目途とするとよいでしょう。

但しLCL料金は、実重量もしくは容積重量の大きい方に基づき計算されます。例えば、金属製の小さな貨物であれば実重量で計算、一方で布団のような軽いものであれば容積をベースに1㎥=1トンで重量換算した「容積重量(Volume weight:V/W)」で計算され課金されます。従って様々な大きさや重さの異なる貨物の場合は、実重量と容積重量をできるだけ同等となるように梱包するとコストメリットが最大となります。

詳細は、shippioブログ[あなたの貨物、海で運ぶ?それとも空で運ぶ?]のRT(Revenue Ton)をご確認ください。

デメリット1: 貨物の損傷リスクがある

LCLは他の貨物との混載、段積みされるなどでびっしりと詰め込まれることも多く、輸送中に他の貨物に接触し破損するリスクがあります。輸送後も国や港によってはCFSがきちんと整備されておらず、仕分け中の荷物の破損や紛失などのリスクが否定できません。また時期によっても貨物の扱いが変わることもあります。例えば、現地での長期休暇のあとには貨物が滞留し、ごった返します。そのような時に貨物の扱いが乱暴になり破損の可能性が高まることもあります。このように輸入者に届くまで一貫して破損のリスクがあります。

デメリット2: 貨物受取までに時間がかかる

LCLではデバンニングというコンテナの中身を出す作業があるので、輸入手続きがFCLでの輸入に比べて1日~1週間ほど遅くなります。また他の荷主の貨物において、貨物確認不良(ケースマークと書類の照合エラー)、書類不備やB/L(船荷証券)未着などがあると通関が大幅に遅れるなどのリスクもあります。

FCLとLCL 使い分けのポイントは貨物の荷量

FCLとLCLを使い分ける一つの基準として、貨物荷量で13㎥目処と言われています。

但し実際に依頼する場合はフォワーダー見積条件や貿易条件などで大きく左右されるため、貿易条件に応じた総費用での比較が必要になります。

ポイント1: 総費用をチェック

FCLとLCLを使い分ける際に、一般的な容積基準は

 

  • 貨物荷量が「13㎥」以上の場合はFCL
  • 貨物荷量が「13㎥」未満の場合はLCL

 

で依頼すると、コストメリットがあると言われています。

 

但し実際に依頼する場合は貨物荷量のみでなく、貨物特性、港湾費用、貿易条件、貨物スペース枠などフォワーダー見積条件などで大きく左右されるため、貨物の国際輸送にかかる総費用、つまり海上コンテナ運賃、港湾費用、国内輸送費用、保険などをチェックする必要があります。

例えば輸出国側では取引先が荷物を輸出するまでのピックアップ料、ドレ―料、輸出国内陸上輸送費、輸出梱包費、ターミナル利用料、輸出通関取扱手数料など、輸入国側ではCFSチャージ、ターミナル利用料、梱包荷捌き料、各種検査費用、輸入通関取扱手数料、関税、消費税、国内陸上輸送費など、また国際輸送中における保険料、燃料割増、為替調整割増、セキュリティ割増、繁忙期割増などがあり、フォワーダーや通関業者などの手数料も異なります。

従って貨物の国際輸送手配を依頼する前に、見積条件を明確にしたうえで複数の業者からFCL及びLCLベースでの相見積を取得し、総費用など比較チェックすることが大切です。

ポイント2: インコタームズをチェック

貨物の国際輸送においてはインコタームズ(貿易取引条件)によっても注意が必要な場合があります。輸出者が輸出側の国内輸送費用と海上コンテナ運賃までしか負担しないCIFの場合、輸出者が料金が安いからといってLCLで輸送すると、CFSチャージは輸入国側の港費用なので輸入者にCFSチャージがかかります。売買契約時にはインコタームズ毎の費用負担範囲を考慮に入れておく必要があります。

ポイント3: LCL割増料をチェック

少ない貨物荷量であればLCLの方がコンテナ運賃が安いと言われますが例外もあります。LCLでは貨物の形状や性質などによって別途割増料金がかかります。例えば、①長尺貨物:約3m以上(目安)、②背高貨物:約2.2m以上(目安)、③重量貨物:約2t以上(目安)の場合です。またLCLではコンテナ内での段積み可能が前提です。しかし貨物の梱包状態や形状によって段積みが不可となる場合や荷主側が段積みNG希望の場合などにおいては更なる割増料がかかります。結果、FCL費用と大きな差がなくなるケースも発生しています。

従って見積依頼時には貨物特性や希望条件を明確にし、LCL割増料などの抜け漏れがないようチェックする必要があります。

まとめ:FCLとLCLの違いは?貨物特性とリスクなどを考慮して上手に使い分けよう

貨物の国際輸送形態であるFCLとLCLのメリット・デメリット、使い分けのポイントについて解説してきました。

 

どちらを選ぶべきかは貨物荷量が基準となりますが、実際に手配を依頼する際には貨物荷量のみでなく、貨物特性、港湾・陸上輸送費用、貿易条件など見積条件などで大きく左右されるため、貨物の国際輸送にかかる総費用を複数の業者から取得し比較チェックすることが大切です。FCL・LCL使い分けや見積依頼などshippioまでお問合せ下さい。 

 

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