チーズの関税はややこしい

“気軽にできる貿易”をテーマに必要な書類・手続き、知っておくべき用語。などを紹介していきます。今回はチーズの関税についてやっていきます。

突然ですが、クイズです。日本にチーズはいつ頃からあるとされているでしょう?

正解は1300年前、飛鳥時代から。

飛鳥時代の「右官史記」に、西暦700年10月文武天皇が”蘇”をつくらせたという記述があるそうです。この”蘇”が現在のチーズの元祖と言われるものです。余談ですが、1992年に日本輸入チーズ普及協会が11月11日を「チーズの日」としました。11月11日の理由は文武天皇が”蘇”をつくらせた旧暦10月を新暦になおすと11月になり、11日は覚えやすいから、だそうです。

日欧EPAで関税が即時撤廃にならなかったとはいえ、ワインとの組み合わせで売り出すという動きもあり、輸入拡大への流れはあるようです。
チーズの輸入、チャンスかもしれません!
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それでは見ていきましょう。

チーズの輸入の現状

現状、チーズの年間消費量は2017年度は約34万トン、国内生産量は約4.6万トン、輸入量は約27.3万トンで大部分を輸入に頼っています。ちなみに、チーズのHSコードは040610~040990です。(HSコードの詳しくはこちらの記事をご覧ください。)

まず、輸入総量を見てみると、2014-2018の5年間では年平均5.34%の成長率で2018年に28.5万トンとなりました。国別輸入量のランキングは1位オーストラリア(約8.3万トン)、2位ニュージーランド(約6.2万トン)、3位アメリカ(約3.3万トン)となっています。ちなみに、JETROによると、輸入量1位のオーストラリア産輸入チーズの内訳は、フレッシュチーズ(モッツァレラ、クリームチーズなど)が約5割、プロセスチーズ用原料チーズ(チェダー、ゴーダなど)が約3割、熟成チーズ(直接消費または食品原料用チェダー、ゴーダなど)が約2割のようです。

冒頭でも触れましたし、このブログでは毎度おなじみEUの輸入上位5位はオランダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリアです。2018年は5カ国合計で約8.8万トンでした。下のグラフからわかるようにEUからの輸入割合は年々増加傾向です。

チーズ輸入の規制

輸入時の規制

  1. 家畜伝染病予防法(2017年11月1日から動物検疫が必要です。)
    日本に輸入するときは「家畜衛生条件」によって規定される事項を記載した輸出国政府機関発行の検査証明書が必要です。動物検疫対象品目は動物検疫所に詳しいです。こちらご覧ください。
    日本から輸出するときは輸入国(仕向先国)側が日本の動物検疫所発行の輸出検疫証明書の添付を必要としているか否かに関わらず動物検疫所において検査を受け、輸出検疫証明書の発行を受けなければ輸出することはできません。

  2. 関税定率法/関税暫定措置法
    ナチュラルチーズ、チーズおよびカードのうちプロセスチーズの原料として使用するもの(HS040610、040640、040690)は関税割当の対象です
    。関税割当は一定の輸入数量の枠内に限り無税または低税率(一次税率)を適用しされます。これには別途関税割当申請手続きが必要です。

  3. 食品衛生法/乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)
    食品規格基準(成分規格、製造・調理・保存基準)、器具・容器包装の原材料規格等への適合が必要です。
    また、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類(原材料、成分または製造工程等に関する説明書、必要に応じて衛生証明書、必要に応じて試験成績書)を届け出る必要があります。
    審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものには検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに、検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは輸入できず、輸入者は積戻し・廃棄等の措置をとります。

その他の規制

  1. 食品添加物の規制・残留農薬基準(ポジティブリスト制度)
    食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準および、各食品中の残留農薬限度量は(厚生省告示第370号)に収載されています。
    収載されている成分規格および製造方法の基準に適合していない食品等は輸入販売できません。
    ナチュラルチーズは
    保存料: ソルビン酸カルシウム、ナタマイシン、ヘキサメチレンテトラミン
    着色料: 三二酸化鉄
    皮膜剤: 酢酸ビニル樹脂
    などの違反例が過去にあったようです。
    また、各食品中の残留農薬限度量はポジティブリスト形式で収載されており、ポジティブリストにない農薬等の一定量は0.01ppm以下でなければならないこと(告示第497号)、ポジティブリスト対象外物質のうち健康を損なうおそれのないことが明らかであるものも告示で定められています。
    その他、暫定規制値が定められているもの(PCB、水銀、貝毒など)もあるので、こちらの点ご留意下さい。

食品添加物等の告示や残留農薬基準は常時改正されています。
厚生労働省の以下のリンクをご参照ください。
「食品添加物」法令・通知
「食品中の残留農薬等」関連通知

  1. 原産国表示
    容器包装入り食品は、同法に基づく表示義務のほか「食品表示法」に従って一括表示を行う必要があります。輸入品には原産地(国)表示が義務付けられています。
    乳製品の場合は「乳を原材料とする加工食品に係る表示の基準
    (2001年3月15日付、告示第71号)」が定められています。

  2. アレルギー表示
    アレルギー物質の表示制度において、「乳」は特定原材料に指定されており、これらを含む加工食品には表示が義務付けられています。

各法で定められている食品表示義務内容の一元化表示を求める「食品表示法」が施行されています。詳細は消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」および「食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等」を参照ください。

  1. 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)/公正競争規約
    過大な景品付販売や消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示等が禁止されています。チーズはチーズ公正取引協議会が表示に関して公正競争規約を定めています。

  2. 健康増進法
    栄養成分または熱量に関する表示を行う場合は同法の「栄養表示基準」に従うことが義務付けられています。

  3. 資源有効利用法/容器包装リサイクル法
    チーズの容器によくある紙製容器、プラスチック容器等は分別回収促進のための材料識別表示が義務付けられており、特定事業者(輸入業者を含む)は容器廃棄物の再商品化が義務付けられています。

チーズ輸入にかかる関税と今後の減税に関して

チーズは種類によって異なりますが、22.4%~40%の関税がかけられる高関税の保護品目です。そうは言っても規制のところでもお話ししましたが、チーズには関税割当の制度が適用されています。日欧EPAではソフトチーズや粉チーズ、プロセスチーズなどの場合、輸入枠を設けた上で関税率が徐々に引き下げられ16年目に枠内関税は0になるとのことです。
関税割当とは、関税割当は一定の輸入数量の枠内に限り無税または低税率(一次税率)を適用し、需要者に安価な輸入品を確保する一方、この一定の輸入数量の枠を超える輸入分には高税率を適用することによって国内生産者保護を図る制度です。チーズの場合年度に1回関税割当数量が国内需要見込数量から国内生産見込数量を控除した数量を基準とし、国際市況その他の条件を勘案して政令として発表されます。

日欧EPAと日豪EPAに関する関税は以下の表のようにまとめられています(JETRO 2017年)。とても個人的な意見ですが、2017年度の国内生産量約4.6万トン、EUとオーストラリアからそれぞれ約8万トンずつの輸入量に対して、この枠数量(EUの枠数量は初年度2万トン、オーストラリアは今年度のプロセスチーズ枠数量は8,200トン)は少なすぎるのではないかと思ったりもします…。

出典JETRO)

それでは、関税割当に関してやっていきます。
まずは関税割当を農林水産省へ申請します。

申請のための関税割当申請者の資格

  1. 日EU協定に基づくチーズの販売又は輸入を事業目的とする法人若しくはこれら事業を行うことが確実であると認められる個人事業者
  2. 期間中に、農林水産省ウェブサイトの申請登録フォームから、申請登録申込を行った法人又は個人事業者で、申請登録申込は各1回のみ

関税割当申請書に添付すべき書類

  1. 申請する前年度のチーズの輸入実績 (輸入見込みを含む)数量等一覧表
  2. 申請する年度のチーズの輸入計画数 量等一覧表
  3. 法人の登記事項証明書(個人事業者にあっては、個人事業の開業・廃業 等届出書の写し(税務署受付印があるもので、個人番号部分が複写されない 措置を講じたもの。))

基本的に申請数量は、824トンが上限です。なお、最後の申告期間に申告した場合、申請者当たりの申請数量は、配分可能数量の範囲内であれば上限なしです。
割当数量を超える数量の申込があった場合は申請順位を定めるために、抽選が行われます。

そうして抽選に当選すると、関税割当証明書が交付されます。この証明書を輸入申告のときに税関へ提出します。もし通関業者などを利用して輸入申告する場合、その通関業者へ関税割当証明書を送付してください。
これで輸入の際、関税割当証明書に記載されている数量以下の申告分まで、低率の関税で輸入することが認められます。
農林水産省のウェブサイトに詳細があるので、ぜひご覧ください。

いかがでしたでしょうか、なかなかチーズの輸入は関税割当の制度を利用するにも煩雑で、少し排他的な印象が強いかもしれません。とは言っても、国内での消費量も増加傾向にあり、前述通り輸入量も増えています。輸入の始めるにはハードルは高いですが、流れはきているのではないでしょうか。
そして忘れてはいけないのが輸送です。チーズは輸送時の温度管理が重要とされ、冷蔵コンテナ利用あるいは冷蔵での航空貨物などを利用しなくてはなりません。しかし、輸送に関してはShippioにお任せを!ご相談やお問い合わせはお気軽に!

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[reference]

J-milk
食品産業新聞社, 2018年7月25日, 17年度チーズ消費 33.8万tで過去最高 健康機能が購買動機、今後は値上げ影響に注目(1)
食品産業新聞社, 2018年12月28日, 欧州テーブルチーズに追い風 日欧EPAで関税撤廃のワインと組み合わせ提案
USDA
日本チーズ輸入協会
JETRO, 2017年09月14日,ビジネス短信
JETRO, 乳製品の輸入手続き:日本

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Photo by Elisa Michelet on Unsplash