貿易で必須なB/L(Bill of Lading)ってなに?言葉の定義やB/L発行のタイミングを解説

2019.02.14

 

貿易の中でも必須の用語である、B/L(bill or Lading)。

 

別名、船荷証券とも呼ばれ、この書類がなければ荷物を受け取れないという点で、B/Lは船積書類のうち最も重要な書類の一つです。本記事では、B/Lの言葉の定義や発行タイミングを解説します。またB/lの代替になるWaybillについてメリット・デメリットをご紹介します。

 

私たちShippioは国際輸送を手配するデジタルフォワーダーです。輸送に関して何か気になる点ございましたら、お気軽にお問い合わせ/資料請求ください。

 

 

 

B/L(Bill of Lading)は船積書類のうち最も重要な書類

 

貿易におけるB/Lとは、B/LとはBill of lading、船荷証券(ふなにしょうけん)と呼ばれる書類です。B/Lの正体は運送人(Career, VOCC, 船会社)が荷送人(Shipper,荷主)との運送契約に基づき、貨物を預かったことを証明するもので、船会社から交付される積荷の所有権を化体した有価証券です。

 

つまり、船会社が船積みを完了させたことを示し、指定の目的地までの運送及びその荷揚げ港で貨物受取人に貨物を引き渡すことを約束したものです。

有価証券なので手形と同じく、裏書によって譲渡が可能です。この書類がないと船会社から貨物を受け取ることはできません。通常、海上輸送で利用され、荷送人から荷物を受け取り、船積みした後に3枚発行されます。

 

まとめると、B/Lは輸出地の船会社が発行する書類で、以下の4つの機能を持つ貿易に関する書類の中でも重要な書類です。

 

① 運送契約の証拠:(運送の詳細や引き渡しの条件を明示)

② 貨物の受領書:(船会社が輸出者の貨物を受け取ったことを証明する)

③ 有価証券:(裏書きによって実質的に他者に貨物の所有権譲渡が可能)

④ 貨物の引取証:荷揚港で貨物を引き取るときに必要(荷受人は裏書きが必要)

原則としてB/L(船荷証券)なしでは貨物の引き取りができないので、船荷証券の代わりに保証状(Letter of Guarantee)を船会社に差し入れて引き取る方法が慣行になっています。通常は船会社所定の様式に、受取人と銀行が連署して保証状が発行されます。B/Lが到着した後、B/Lを船会社に提出して同保証状を解除します。

 

また、国際貿易で信用状取引を行う場合、この有価証券であるということが重要です。荷送り人(輸出者)は、予め決済のための口座を開設しておいた銀行に、船荷証券を持参して輸出代金を受け取り、一方、荷受人(輸入者)は、揚げ地の銀行で輸入代金と引き替えに、この船荷証券を受け取ります。輸出入当事者間の決済は、これで事実上完了したことになります。

貿易の流れや発行タイミングで変わるB/Lの呼び方

Surrendered B/L(サレンダードB/L)

‍本来、B/Lは引き渡しの際に必要な引換証の役割や、貨物引き渡し請求権を立証する「有価証券」の役割を果たします。しかし相当前のことですが、コンテナ船の登場による船舶輸送の高速化で、貨物の荷揚港到着にB/L到着が間に合わず貨物が引き取れない事態が発生するようになりました。いわゆる「船荷証券の危機(B/L Crisis)」と言われるものです。このようなトラブルを回避し、貨物をスムーズに引き取るために登場したのが、サレンダードB/L(Surrendered B/L)と後述するWaybillです。B/Lは有価証券であるため直筆裏書の署名が必要ですが、メールでの書類発送が一般的なので、サレンダードB/LとWaybillを利用することが多いです。利用方法は、まず輸出者がB/LをB/L発行した船会社に返却し、その後その船会社から”SURRENDERED”のスタンプを押したB/Lのコピー一通と運賃明細用B/Lが輸出者に渡されます。これをサレンダードB/Lです。あくまでコピーであり「サレンダード B/L」というB/Lが発行されるわけではないです。そしてそのサレンダードB/Lを輸入者にFAXで送ります。

Received B/L(受取船荷証券)‍

通常B/Lは、船会社が荷主から荷物を受け取り、船積みした後に発行されますが、船積み前にコンテナヤードで船会社が貨物を受領した時に発行されるものを「受取船荷証券」(Received B/L)と呼んでいます。ただし、信用状取引では”On Board (Ocean) Bill of Lading”が要求されるので、このような受取船荷証券の場合は、日付の入った”On Board Notation”(船積証明追記、または積込付記)を船荷証券上に追記することにより、通常のShipped B/L(船積船荷証券)(=本船搭載を確認してから発行される船荷証券)と同等の扱いとします。

Order B/L(指図式船荷証券)

‍“To order” から始まるB/L。To order of shipperは shipperが裏書(endorsement) して、荷受人を指定します。荷受人を指定せずに、単に白地裏書(Blank Endorsement) の場合は、B/Lを到着地の船会社に持参した者が貨物を引き取ることができます。

 

他にもB/L(船荷証券)の状態やどのタイミングで発行されるかで、様々な呼ばれ方がされます。その中の一部をここで少しあげておきます。

Stale BL

船荷証券の日付から21日を経過して荷為替手形が組まれる時のB/L。手形買取の際に問題が発生する。信用状(L/C)に記載されている船積期限を過ぎて発行されたB/L。

Straight B/L

Consignee欄に荷受人が記載されているB/L。B/Lの1通を輸出者から輸入者に直接送付させ、そのB/Lで貨物を引き取ります。→輸出者と輸入者とが本支店関係とか本社と現地法人とか合弁企業等の信頼関係がある場合。

Liner B/L (定期船船荷証券) 

通常の個品運送の貨物に対して発行されるB/L。

Charter Party B/L (傭船契約船荷証券)

不定期船(Tramper)に船積した貨物について発行されるB/L。B/L表面に issued pursuant to charter party dated などの文言が付されます。傭船契約書はB/L裏面への印刷ではなく、B/Lとは別に作成されるので、傭船契約船荷証券は別名Short Form B/Lといいます。

Combined Transport B/L・Multimodal Transport B/L(複合運送証券)

コンテナ輸送に使用されるB/Lで、荷受け地から荷渡し地までの貨物輸送を船舶・トラック・鉄道等2つ以上の複合的な手段で、運送人の輸送責任である荷受地から荷渡地まで輸送される際に使用されるB/L。‍

 

Waybillを使って貿易 〜B/Lを使わずに荷物を受け取る〜

Waybillとは

‍B/Lについて解説してきました。呼び方や発行タイミングなどが複雑で、具体的なイメージが沸かない方も多いのではないでしょうか。

Waybillは、運送契約書と貨物の受領書を兼ね備えたもので、B/Lと違って有価証券の性質がなく、裏書譲渡はできません。また、貨物を引き取るときは、Waybillの呈示とは関係なく、貨物の引き取りに行った人がWaybillに記載されたConsignee(荷受人)であると確認できれば、引き取ることができます。

具体的には、まず船が到着する際に、事前に「Arrival Notice(到着案内)」という書類が届きます。この書類は通常、WaybillのNotify Party(到着送付先)欄に記載された宛先に届くのですが、その届いた「Arrival Notice」の書類上に、WaybillのConsignee(荷受人 ※通常は輸入者)がサインすれば、そのサイン付き「Arrival Notice」が貨物の引き換え証となり貨物を受け取れるようになります。

Waybillのメリット

Waybillは記載されたConsignee(荷受人)に貨物を引き渡すため原本を送る必要がありません。輸出者は船会社からWaybillを受け取ったらすぐに輸入者にメールやFaxで送るだけでいいので、B/Lを使った取引より手間や時間が短縮されます。サレンダードB/Lでもお話しした通り、有価証券であるB/Lを使った取引では裏書譲渡によって、B/Lの所有権及び荷物の所有権を譲渡するので、荷物受け取りの際は裏書きするために原本が必要です。輸出者は輸入者にクーリエなどでB/L送付する必要がありますが、これは日数がかかります。B/Lを使わずWaybillを用いることで、迅速に貨物を引き取ることができます。ただし、輸入者側が輸出者に対し、このWaybillの発行を依頼する必要があります。

先述のサレンダーB/Lを使うことでB/Lの原本でなくとも荷受人が荷物を受け取流こともできるのですが、国連や一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)は、リスクを低減させ、電子化を促進するためにもWaybillの利用を推奨しています。

Waybillのデメリット

‍ここまでご説明してきたように、Waybillは書類発送の手間が減ること、時間短縮されることがメリットです。一方でWaybillは、輸入者の代金支払の有無にかかわらず貨物が渡ってしまうため、輸出者にとってリスクが大きい(実質、後払いと変わらない)ということも特徴です。また以下の2点は注意してもいいかもしれません。

 

①信用状取引(L/C取引)で使用されることはない

有価証券であるB/Lは書類自体に財産価値があるため、L/Cの担保になり得ますが、Waybillは有価証券ではないためL/Cの担保にならず、L/C取引で使用されません。Waybillの荷受人(Consignee)の欄に、荷渡地の銀行を記載し、必要な代金等を当該銀行が回収した後で、当該銀行の指示に基づき、実際の荷受人(Consignee)に運送品を引き渡すというような工夫を行うことも可能です。

 

②発行通数

日本では、Waybillは印紙税法別表第一の1号の4文書(運送に関する契約書)として取り扱われます。なので、Waybill面上の記載運賃額が印紙税法上の記載金額とされ、印紙税が課される可能性もあります。そのような状況から、Waybill面上には具体的な運賃額の記載はしないで(多くの場合はas arrangedというような表記にする)、且つ印紙税の課税対象となるオリジナルのWaybillを1通のみ発行とすることが慣習となっています。

 

いずれにせよ貨物を輸送すると、その後サレンダードB/LやWaybillをやりとりしなくてはいけません。従来、その際の書類管理はなかなかに手間のかかるものです。しかし、その輸送にShippioを使って頂くと、その書類管理がWeb上だけで完結します。ぜひ国際輸送の際はShippioをご用命ください。

 

また最近ではブロックチェーンを使ったB/Lの話もあります。

例えば、2019年1月にはシンガポールの船会社PILとIBMがブロックチェーン活用し、B/Lの信頼性の確保と手続きの簡略化及びスピードアップを図るべく、B/Lの電子化に向けて協力するという話がニュースに取り上げられていました。

 

ブロックチェーン活用したB/Lのペーパーレス化はコスト削減、迅速なやり取り、エラーのない文書交換と記録など、現在のオリジナルB/Lの問題点を一気に解消できます。一方で、ブロックチェーンを使った貿易への参加者を増やしていかなければならないという問題点もあります。

 

ブロックチェーンの根本は分散型台帳です。取引履歴の記録が残り、改ざんできないことが大きな特徴ですが、その関係者が分散型台帳の仕組みに参加することが必須条件になります。貿易取引では関係者が多いことから、電子化されたBLの導入には船会社や他の貿易関係者の参加はもちろん、通関でも必要となるため、各国税関の対応も重要です。こうした参加者を増やすことが今後の課題となるでしょう。

まとめ:貿易で必須なB/L(Bill of Lading)

貿易の中でも必須の用語である、B/Lについてご紹介しました。B/Lは運送人(Career, VOCC, 船会社)が荷送人(Shipper,荷主)との運送契約に基づき、貨物を預かったことを証明するもので、船会社から交付される積荷の所有権を化体した有価証券です。

貿易の流れや発行タイミングで呼び方が変化します。

また、Waybillという運送契約書と貨物の受領書を兼ね備えたシステムを使うことで書類発送の手間が減ること、時間短縮されることも可能です。一方でWaybillは、輸入者の代金支払の有無にかかわらず貨物が渡ってしまうため、輸出者にとってリスクが大きいとも言えます。

 

最も重要な貿易書類の一つであるB/Lについて正しく理解し、実務の中で実践・活用してみてください。

 

私たちShippioは国際輸送を手配するデジタルフォワーダーです。輸送に関して何か気になる点ございましたら、お気軽にお問い合わせ/資料請求ください。

 

 

 

 

Reference

  1. JETRO 船積船荷証券(Shipped B/L)受取船荷証券(Received B/L)の違い:日本
  2. JETRO 貨物が船積書類より先に届いた場合に貨物の引き取りを迅速に行う方法:日本
  3. Container management PIL andIBM collaborate on blockchain Bill of Lading project