その日本酒、輸出してみましょ

“気軽にできる貿易”をテーマに必要な書類・手続き、知っておくべき用語。などを紹介していきます。
今回は日本酒の輸出についてご紹介致します。特に日欧EPAが発効されてまもないので、フランスに向けた輸出を取り上げます。現状、酒類はアメリカや中国への輸出が大変多いです。しかし後述しますが、今後、国をあげて日本酒の輸出を推進する取り組みが催されるようです。この記事で日本酒輸出のことを知って、日本酒を世界に発信しましょう。
私たちShippioは国際輸送を手配するフォワーダーです。輸送に関して何か気になる点ございましたら、お気軽にお声掛けください。→ Shippioにお問い合わせ

日本酒輸出の現状

2018年度の日本酒の輸出量は25,746,831Lで前年比10%増、金額は222億3,150万円で前年比19%増となりました。

(出典:SAKETIMES)
このグラフからもわかるように年々輸出量、輸出金額ともに増えています。

今回取り上げるフランスへの平成30年度の輸出量は274KL、金額は約2億7500万円です。この5年間の推移をグラフにまとめました。

(貿易統計を基に当社作成)
ご覧頂いてわかる通り、全体での輸出量・金額と同様に年々増加傾向にあります。加えて、グラフからわかるように、フランスには比較的価格帯の高いものが輸出される傾向にあるようです。フランスへの輸出は量・金額ともに全体の1%程度でまだまだ伸び代があります。
加えて、日本酒はご存知の通り製造された地域の気候や風土によって様々な個性が出るというワインと同じ性質があり、フランス料理の食中酒として浸透するポテンシャルがあるとされています。また、フランスでも日本のように健康志向が進み、バターや生クリームなどこってりした食材を使う量や頻度が少なくなってきており、日本酒が合うシンプルな味付けの料理がフランスで増えていて、多くの星付きホテルやレストランで日本酒の導入が進んでいるという事実もあるようです。

日本酒輸出の方法

まず輸出する際は日本での「輸出酒類卸売業免許」 が必要です。この免許は取得申請時点ですでに輸出相手候補との取引見込みがあることが条件です。フランスでの日本酒試飲会など、販売先への販売促進の機会も今後増える見込みなので、そのような機会に取引先を見つけることをお勧めします。ちなみに日本酒はHSコードはHS220600です。

【規制】
日本で瓶詰めされた日本産の720ml及び1800mlの容器の単式蒸留焼酎は、日EU経済連携協定の発効日(2019年2月1日)からEU域内で販売することが可能です。

  • 容器ラベルの表示
    • 販売製品の名称(品名):商標やブランド名は付記しても良い、清酒のラベル表記の例は「Rice Wine」
    • アレルギー成分:英国では表示が義務付けられています。
    • 正味容量:体積単位で「ミリリットル」、「センチリットル」、「リットル」のいずれかで表示します。
    • 賞味期限:ロット番号を代わりに記載することで省略が可能です。
    • 保存・使用条件
    • 製造者・ボトリング業者・輸入業者のいずれかの名称または会社名と住所
    • 原産地または発送地
    • アルコール度数:小数点第一位まで明記します。アルコール度数の後には「%vol.」と表記する。、もしくは、アルコール含有を意味する「alcohol」または「alc」をアルコール度数の前に表記する必要があります。

ラベル表示に際しては、包装面の最大面積が80平方センチメートル以上の場合、アルファベットの小文字の高さが1.2mm以上、25~80平方センチメートル以下の場合0.9mm以上となるフォントサイズにする必要があります。また、妊娠中の飲酒に対する以下の警告文あるいは所定の絵表示を掲載する必要があります。

  • 残留農薬基準
    EUではEC規則No 396/2005で使用可能な農薬についてポジティブリスト制で各食品に対する残留農薬の上限量を示す残留農薬基準(Maximum Residue Limit: MRL)を規定しています。残留農薬基準の設定がない農薬については一律0.01mg/kgが適用されます。
  • 重金属および汚染物質
    EUでは食品に含まれる汚染物質の残留濃度の上限値を規定しており、清酒を含むその他発酵酒は鉛、スズ等に留意する必要があります。
  • 食品添加物
    EUでは食品添加物についてポジティブリスト形式での規制をしています。認可を得た食品添加物のみ使用が認められます。

【税金】

関税はかからなくなっても酒税(物品税)や付加価値税(VAT)はかかります。
まず、付加価値税(VAT)は20%です。
酒税の課税額はアルコール度数によって変わり
酒税、付加価値税(VAT)の種類と税率はEU加盟各国の規定によります。

フランスであれば
酒税
アルコール度数1.2%超、15%以下の日本酒(アルコール非添加)
3.77ユーロ/100リットル
アルコール度数15%超、22%以下の日本酒(アルコール非添加)
188.41ユーロ/100リットル
アルコール度数1.2%超、22%以下の日本酒(アルコール添加)
188.41ユーロ/100リットル

アルコール飲料(社会保障分担金)税(アルコール度数18%超)
蒸留酒:557.90ユーロ/純アルコール100リットル
その他:47.11ユーロ/100リットル

関税・酒税の分類は複雑なため、一般的な日本酒と異なるタイプ(例:炭酸や糖分を添加したもの)の関税・酒税は、必要に応じて管轄当局に問い合わせる方が確実です。

【輸送】
輸送コストはJETROがフランス向けの輸出について概算を出しています
空輸: 日本酒四合瓶(720ml)約9-11ユーロ/本、一升瓶 なら約20ユーロ/本。
海運: 日本酒四合瓶(720ml)約2-4ユーロ/本、一升瓶では約6ユーロ/本。
日本→フランスへの海上輸送の所要日数の目安はパリ市内まで約40日〜70日です。

海外の“日本酒”の動き

2007年からロンドンで行われているワインのコンテスト「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(International Wine Challenge、IWC)に日本酒部門ができていますし、2017年からはフランス料理のための”日本酒コンクール「Kura Master」というものも開催されています。2018年の「Kura Master」のエントリー数は約650銘柄だったとのことです。
また「Les Larmes du Levant」というフランス人オーナーが日本から杜氏を招いて2017年から生産をしていたり、2018年にはアメリカ・ニューヨーク初の酒蔵「Brooklyn Kura」、イギリスでは日本酒醸造所がケンブリッジにできたりしています。
海外で日本酒の品評会も行われていますし、日本酒が作られるような活動もあり、日本酒が海外で広まりつつあるようです。

日本酒輸出拡大に向けた取り組み

2019年1月8日(火)の日本経済新聞朝刊「日本酒や焼酎の輸出拡大へ予算5割増 」によると、2019年度国税庁はTPP11や日欧EPAの発効を機に、日本酒や焼酎など国産酒の輸出を増やす取り組みを強化するとのことです。
例えばサンパウロ,ロサンゼルス,ロンドンにある「ジャパンハウス」で試飲会などの日本酒の魅力を伝える試みを19年度に拡充するそうです。

ロンドンにジャパンハウスのあるイギリスへの平成30年度の輸出額は3億2367万円ですが、日本酒への興味が高く、こちらもまだまだ伸び代のある市場です。EUを離脱しますが、日欧EPAをベースにした日英FTAやTPPへの加入の話があるので輸出しやすい環境であることは確かです。
このような国の取り組みを背景に、今後海外からの問い合わせや出品機会も増えると思われます。

また、最近は越境ECを利用することで、インターネットで気軽に世界中のお客さんにお酒を売ることも可能になっています。ヨーロッパへの越境ECを通じたお酒の輸出についてはこちらの記事「越境ECを通じてお酒をどんどん輸出!〜ヨーロッパ編〜」を御覧ください!(中国・韓国編はこちら)

ここまで日本酒の輸出をざっくりと書いてきましたが、一口に日本酒といっても純米酒であったり、吟醸酒であったり、スパークリングがあったり様々あり、輸送に関しても細かいご希望あると思います。そのような輸送に関するご要望はフォワーダーに相談して最適な輸送手段で輸出しましょう。日本酒輸出の際、航空輸送にするか海上輸送にするか、混載にするべき否か、冷蔵物流にすべきか、などなど輸送に関するご相談はお気軽にShippioまでどうぞ!!
(実際に弊社が手がけた日本酒輸出案件は、料金やスケジュール感含め、「Shippio事例紹介①日本酒の輸出」でご紹介しています!)


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